【企画もの】 スーパーニッカ 3種比較(復刻版、従価特級、現行ボトル)
久々に企画ものです。ニッカが展開するブレンデッドラインの1つ、スーパーニッカ。1962年、サントリーのローヤルと並んで国内最高級のブランドとして投入されました。以来、ニッカの高級ブレンデッドの原点として存在感を発揮し、50年以上経った現在もなお存続している歴史あるブランドです。昨年、往時のレシピによる復刻版が発売されたこともあり、せっかくなので3本ぐらい並べて比較飲みをしてみました。
今回はこの3本、左から復刻版、現行(ミニボトルですけど)、右のは恐らく80年代の従価特級です。さすがに発売当初のクリスタルボトルや羽根付きボトルは用意できなかったので復刻版で代替し、擬似的にではありますがスーパーニッカの50年の歴史を振り返りたいと思います。
どんどんいきましょう。
ベンチマークとなる現行ボトルです。味わいはといいますと、ざっくり
香り:薄っすらとピート、フルーツ
味わい:スムース、ニッカグレーンの甘さ
余韻:イチジクトースト
こんな感じです。ほんのりとピートを効かせつつ、宮城峡のフルーツ感やカフェグレーンの甘さもしっかり感じさせてくれますね。ある意味、今あるニッカのリソースをうまくバランスしたブレンデッドと言えるでしょう。
続いて従価特級ボトル。恐らくは70年代後半から80年代のものかと。現行ボトルと比較して丸みを帯びた印象ですね。あと何といっても肩ラベル。スーパーニッカって肩ラベルのイメージが強いのですが、いつからか肩ラベルやめちゃいましたねえ。
味わいはといいますと…
香り:柔らかくピート、ナッツ
味わい:チョコ、ドライフルーツ
余韻:樽感、トースト
です。現行に比べてしっかりとピートを感じますし、ナッツ感も前に出てきます。現行よりも余市を感じますね。一方で現行で感じた宮城峡の華やかさがさほどありません。まだ熟成段階なんでしょうね。
こちらは復刻版です。1962年の発売当時のレシピで再現したというもの。ボトルは現行のものを使ってる感じですね。まあクリスタルボトルとかになったら1万円超えるでしょうしそれはいいんですが、肩ラベルは再現して欲しかったですね。現行と並べたら違いがわかりませんw
味わいは…
香り:ピート、ナッツ
味わい:ビターチョコ、塩キャラメル
余韻:トースト、塩っ気
です。レビューでも述べましたが新余市(通称、塩余市)で感じた塩っ気がベースにあります。ですが「塩辛」と評してしまった塩余市ほどではなく、ブレンドの技術で「旨み」の範囲に抑えることに成功していると思います。このブレンドはアタリですね。
スーパーニッカ発売から50年余、その間に生産・販売環境は目まぐるしく変化しました。ユーザーの趣向の変化や宮城峡蒸留所でのモルトやグレーンの生産開始などもあり、スーパーニッカというブランドでありながらその味わいは常に変化しています。その変化の変遷を(擬似的に)なぞることができたのは興味深かったですね。また違う銘柄でやってみたいと思います。
ニッカの高級ブレンデッドラインはこのスーパーニッカ以降、「鶴」「FORTUNE 80」「グランドエイジ」が続き3本柱を形成、スーパーニッカはその下に位置づけられます。しかしその3本柱も1990年代後半に再編、2000年に投入された竹鶴シリーズにその座を譲ることになりました。
◆ニッカ高級ブレンデッド簡易年表
・スーパーニッカ 1962---------------
・鶴(鶴17年) 1976----------2015
・FORTUNE 80 1980---1997
・グランドエイジ 1989--1996
・竹鶴シリーズ 2000----
3本柱で唯一残っていた鶴も昨年の再編で遂に終売になり、かつてのニッカ3本柱は解体されました。今後は竹鶴シリーズやシングルモルト余市・宮城峡へのリソース集中が謳われています。そのような時代の変遷を経ながらも、スーパーニッカはしっかりと存在し続けているのです。
発売当初は最高級ラインでありながら、現在はミドルクラスに位置付けられるのはサントリーのローヤルも同様です。ですが発売に至るまでの開発ストーリー、築いてきた歴史が違うということでしょう。ローヤル同様、長い年月を経て積み重ねてきた実績がスーパーニッカにはあるということです。やはり、こうした歴史あるラインは末永く続けて欲しいものですね。