夜は琥珀色 ~家飲みウイスキーのことなど~

しみじみとウイスキーのお話を

ブラックニッカ8年

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先日、リリースされたばかりのブラックニッカ・ディープブレンドを飲んだときにふと気になったその他のブラックニッカ。中でも、はぐれメタル並みの遭遇率と言われてきたスペシャルと8年ですが、たまたまオフィスの近くのスーパーで何故か8年の在庫が充実するという謎な現象が発生しましたので、早速捕獲してきました。700mlのボトルは1,600円。

既報通り、ニッカはラインナップの大幅な再編時期にあり、ブラックニッカも例外ではありません。今回取り上げる8年は終売となります。もっとも、この8年とスペシャルは店頭で遭遇する確率は極めて低く、多くの人にとっては既に終売に近い状態だったので、コアなファンを除けば大勢にそう影響はないでしょう。

開封してみます。華やかに香りが立ち上がります。バニラのような甘さが飲む気を誘いますね。口に含んでみますと、香り通りの甘さがほどほどに広がります。熟成8年ということでやや固さは感じられるものの、まろやかさが主体でアルコール感はほとんどありません。余韻はビターチョコが顔を出します。

改めてではありますが、8年は受けのいい華やかさ・甘さ主体の今風なブレンドでした。比較して飲んでみて、後発のディープブレンドの方がノスタルジックなブレンドを志向しているのが興味深いですね。この8年、マーケティング的にも優遇されず、さして光を浴びないまま退場していくわけですが、正直ディスコンにするのはもったいない出来だと思います。


【香 り】 フローラル
【味わい】 やさしく、甘い
【余 韻】 ビターチョコ
【短 評】 ギャン
【飲み方】 若干の加水

 

 

  

思い出しました。かつてこの8年を飲み、そしていつしか飲まなくなった理由を。同じくニッカのブレンデッド、伊達の存在です。宮城峡モルトの華やかさとグレーンの甘さを押し出した伊達、この伊達と8年の方向性がほとんど同じなんですね。熟成年数こそ入っていませんが、8年の香りと味わいをよりはっきりさせたのが伊達だと思っていただければわかりやすいと思います。

私は8年と同じ方向性でより美味しい伊達に流れたので、8年を飲まなくなってしまったんですね。もっとも、伊達は8年の倍以上の価格(9月の値上げで3倍近くまでになりますが…)ですから美味くて当たり前なんですけど。こんな形で私が8年を飲まなくなった理由が判明してしまうとは驚きです。はい、私は自他共に認めるぐらいに記憶力がありませんw

とはいえこの8年、単体としてみれば美味しいウイスキーで、かつコストパフォーマンスも極めて高いと思います。もう少しちゃんとセールスをすればもっと数字も伸びたと思うのですが、利益率が悪かったんでしょうかねえ…まあ、8年縛りってのも中途半端なハードル感ありますしねえ…

というわけでブラックニッカ8年、そのスペックの高さと高貴ある存在を示しながらも、マーケティングの谷間に落ち込み、量産化に至らなかったという経緯も踏まえ、ギャンという評価で〆たいと思います。ウラガン、この瓶は…いいものだ…