夜は琥珀色 ~家飲みウイスキーのことなど~

しみじみとウイスキーのお話を

知多蒸留所特製グレーン

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9月にサントリーから新発売となるグレーンウイスキー「知多」。今回はその知多ではなく、おさらいとして今まで限定販売となっていた「知多蒸留所特製グレーン」を取り上げてみたいと思います。某デパートで発掘した180mlのミニボトルは2,200円、700mlのボトルだと8,500円。

サントリーのグレーンウイスキーには白いラベルのシングルグレーン「知多蒸留所」もあり、こちらは知多蒸留所のある愛知県での数量限定販売でした。これらの中身の違いは正直わかっていませんが、今回の「知多」量販化にいたるまでのマーケティングの意味合いが強かったのだと思います。

それでは開封してみます。まず香ってくるのは華やかな甘さ。おお、これは響の香りではありませんか。熟成感はやや足りないものの、響12年ぐらいの華やかさがあります。期待を膨らませて口に含むとやはり最初に感じられるのは響を想起させるスッキリとした甘さ。ただ、そこからの味わいはそれほどなくスッと消え、余韻もまたあまりなくフェードアウトします。

知多グレーンが響を構成する1要素であることがよくわかりますね。特に熟成年数が若い響、ジャパニーズ・ハーモニーや12年ぐらいまでの香りの主力として活躍している感じです。一方で味わいや余韻はグレーンウイスキーの特徴なのかそれほど伸びてこないものの、クセのなさは使いようといったところでしょう。


【香 り】 響
【味わい】 甘さの第一楽章
【余 韻】 あまりなし
【短 評】 第一バイオリン
【飲み方】 加水~割り

  

  

実は同じ時期にニッカのカフェグレーン、キリンの御殿場蒸留所シングルグレーン(次回に取り上げます)を飲んでたのですが、香りや味わいの方向性こそ違えども、傾向としてはほぼ同じでした。シングルモルトやブレンデッドにある味わいや余韻の深さ、複雑さはあまりなく、香りと味わいの一発目がそのままフラットに伸びていく出足勝負型ウイスキーという印象です。不勉強なもので長期熟成グレーンを未飲なだけに断定はできませんが、それがグレーンの個性なのでしょう。

知多グレーンは間違いなく響を構成しており、特に香りパートはメインの1要素です。響がオケなら知多グレーンは第一バイオリン、あるいはバイオリンのソロパートといったところでしょうか。じっくりと時間をかけて向き合うのには不向きかもしれませんが、スパッと味わえるいいウイスキーだと感じました。9月に新発売となる「知多」は今までのものよりかなり価格がこなれています。マーケットを取りに来たのか、あるいは質を…いずれにせよ、期待ですね。