夜は琥珀色 ~家飲みウイスキーのことなど~

しみじみとウイスキーのお話を

ベンリアック12年シェリーウッド

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まだまだシェリー系を続けます。ここ数年でシェリー系のド定番に定着した感のある、ベンリアック12年シェリーウッド。初めて入るバーで「シェリー系で何か」とオーダーするとこのベンリアックを勧められる割合はすごく高いですね。それだけ広く認められているということでしょう。700mlのボトルは5,000~5,500円ぐらい。

赤く派手目なラベルがシェリー感を煽ってきますね。このベンリアック12年シェリーウッドの特筆すべき点は、シェリーウッドフィニッシュではなく、シェリー樽のみ(オロロソ60%、ペドロヒメネス40%らしいですね)で熟成させたところでしょう。良質なシェリー樽の確保は各蒸留所も苦労しているところ。このシェリーウッドが上市されてから5年ほどになりますが、ホントよくやっていると思います。

開封してみます。濃いめのシェリーと樽感が香ってきます。香りはペドロヒメネスが先行していますね。口に含むとジャムやチョコなどしっかりとした甘さが味わえます。余韻はトースト感のあとにドライに切れ上がります。印象ですが香りと味わいの導入部分をペドロヒメネスが担い、後半部分と余韻のドライさはオロロソが主張している感じです。

とても軽快で飲みやすいシェリー系ですね。熟成年数以上の味わいに深さに加え、シェリーの瑞々しさを表現することもできている佳作だと思います。長らくシェリーの代表選手といえばマッカランが担ってきましたが、今ベンチマークにすべきはこのベンリアックでしょう。もっとも、シェリー樽がいつまで確保できるかわかりませんが…


【香 り】 ペドロヒメネス的な
【味わい】 ジャム
【余 韻】 最後はドライに
【短 評】 シェリーのファンネル
【飲み方】 ストレート、若干の加水

  

  

ベンリアックは創業こそ1800年代ですが、主にシーバス向けの原酒製造を行っていて、ベンリアックの冠をつけたシングルモルトの発売は1990年代に入ってからという遅咲きの蒸留所です。さらなる転機は2000年代の買収で、経営陣が変わって以降は次々と新ラインを投入、一気に評価を上げてきました。今ではグレンドロナックも買収し、ノッテる蒸留所の1つでしょう。

長らくブレンデッドの原酒製造をしていたので、シングルモルトメインの蒸留所にない捻りの効いた熟成原酒があるのだと思います。まだベンリアックの長熟モルトはそれほど試せてはいないものの、この12年シェリーウッドだけでなく、15年ペドロヒメネスや16年ソーテルヌなど中堅どころの良作も多く、要チェックの蒸留所であることは間違いありませんね。