夜は琥珀色 ~家飲みウイスキーのことなど~

しみじみとウイスキーのお話を

サントリー ローヤル '60

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新年明けましておめでとうございます。かようにひっそりとした零細ブログにお越しいただいて感謝です。これからもひっそりとしていきますのでささやかなご愛顧を。んで新年一発目といえば、ローヤルってのが何十年か前の定番だったと思います。それに倣ってローヤル…は以前取り上げましたので、今回はオールドボトルのローヤルにします。

おさらいになりますがローヤルはサントリー創業60周年を記念し、1960年に発売されました。実に50年以上前のお話です。かの鳥井信治郎氏による渾身の作品になり、長らくサントリーの最高級ラインとして主に贈答用商品の軸を担ってきました。特徴的なボトルデザイン、ナイフでスパッと紐を切って開封するところなど、儀式的な要素も加えて「格」を演出しています。

開封してみます。まず割りとはっきりした樽感、奥から甘さも漂います。熟成感はあまりありません。口に含むと知多とは違うグレーンの風味、シロップのような甘さが広がります。余韻はレーズン、そして少しのトースト感。今の響ほどの洗練さ、複雑さはありませんが、サントリーが目指した味わいの源流は感じられます。加水してみると香りが開き、わかりやすい甘さが出てきます。水割りを前提にした構成なんでしょうね。

ローヤルは発売初期数年は「'60」、そこから80年代までの「60」、80~90年代にかけての「SR」、以降は12年、15年の発売を経て現在のボトルになっています。今でこそフラッグシップの座を響に譲っていますが、歴史的にサントリーの顔といえばこのローヤルでした。そんな歴史に想いを馳せながら飲むのもまた一興といったところでしょうか。


【香 り】 加水で甘さが吹き出す
【味わい】 薄めたシロップ
【余 韻】 レーズン、トースト
【短 評】 サントリーの源流
【飲み方】 水割り、ですねえ

  

 

60年代初頭に発売されたこのボトルのローヤルには白州モルト、知多グレーンが入っていません。何しろまだ設立されてもいないからです。(白州蒸留所1973年、知多蒸留所1972年設立)ですので、モルトは山崎蒸留所のもののみ。その山崎もシングルモルト山崎の発売前ということで、ブレンド用にしか使っていなかった時期になります。「'60」の「’」が取れた「60」のボトルは80年代まで発売していたらしいので、これはどうだかわかりません。

以前響のオールドボトルのときにコルクの劣化・コルク臭のリスクがあることを指摘しましたが、ローヤルのオールドボトルはさらに被弾率が高くなります。(横置きした方が安定するボトルデザインだからでしょうか?)この「'60」ボトルになると製造してから50年は経っていますし、その分保存状態による影響度が高まることになります。

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被弾率を低下させる方法としては、丸瓶をチョイスするというのもアリです。お馴染みの角瓶はコルクキャップ、一方で丸瓶はスクリューキャップ、加えて丸いので箱入りではない限り横置きのリスクも回避しやすい。角瓶に比べて少し容量が少ないのと、「見せる」要素が減ってしまいますが、中身は同じなので純粋にサントリーの源流を味わいたいのであればこちらもおすすめです。