夜は琥珀色 ~家飲みウイスキーのことなど~

しみじみとウイスキーのお話を

ブッシュミルズ 21年

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先日のティーリングで味を占めたので今度はアイリッシュの代表格、ブッシュミルズにいきたいと思います。来週3/17はセントパトリックスデーですしね。ブレンデッドがメインのアイリッシュの中でブッシュミルズシングルモルトの生産を続けてきた蒸留所です。90年代になってクーリー蒸留所がシングルモルト(カネマラとかですね)の生産を開始していますが、アイリッシュシングルモルトといえばブッシュミルズでしょう。

とはいえ昔バーで飲んだブッシュミルズ10年は飲みやすい一方で個性はあまり感じられませんでした。そんな苦い記憶とともに店でブッシュミルズ16年と21年を手に取ります。ブッシュミルズアイリッシュ伝統の3回蒸留、特に21年はオロロソシェリー・バーボン樽で19年熟成させてからマデイラ樽でさらに2年熟成。どうせならばと熟成がより進んで21年にしましょう。700mlのボトルは9,000円ほど。

開封してみます。まず青リンゴ、洋ナシが爽やかに香り、次いでドライフルーツ、ナッツが奥から出てきてます。多層な香味の構成ですね。口に含むとまろやかに、アルコールの刺激もなくすっきりとした口当たりでしっとりとレーズン。余韻は長く、オレンジ、ママレード、ピーチ、最後にミント。素晴らしくフルーティで瑞々しいモルト

ブッシュミルズは大麦100%とスコッチと同じ材料を使っているのに、スコッチとはまるで違う味わいなことに驚きです。優しく、女性的ながら奥行きも複雑さも確かにある。ブッシュミルズ10年あたりでは感じ得なかった香りや味わいの豊かさに、今までの不勉強を思い知る次第です。でもブッシュミルズ10年は正直物足りな…いやいやw


【香 り】 青リンゴ、洋ナシ
【味わい】 まろやかにレーズン
【余 韻】 オレンジ、ピーチ
【短 評】 赤毛のおねえさん
【飲み方】 ストレート、少量の加水

  

 

(再び)すいません、アイリッシュ舐めてました。美味いじゃないですかw いやね、ティーリングの時点で結構期待値が上がってたんですけど、それを上回る味わいでした。ブッシュミルズ10年ぐらいで感じた味わいの物足りなさは熟成が進むことで十分な深みを帯びています。もちろんスコッチやジャパニーズの20年ものと比べたら軽さは否めませんが、これは軽快だという個性だと受け止めていいかと。

何より評価できるのがコストパフォーマンスです。20年超のシングルモルトが1万円以下というのは今のご時勢、値打ちものでしょう。どっしりとした味わいの深さやピートラヴァーを求める飲み手にはウケる要素はありませんが、家飲みのポートフォリオにこういうベースがしっかりとした軽快なモルトが1本あってもいいんじゃないかな、と思います。