夜は琥珀色 ~家飲みウイスキーのことなど~

しみじみとウイスキーのお話を

竹鶴17年

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引き続きジャパニーズです。余市シングルモルトでしたので、今回はブレンデッドの竹鶴17年になります。余市以上に「マッサン」の影響を受けて、悩ましいぐらいに店頭から姿を消してしまいました。店に並べれば売れる状況なせいか、700mlのボトルは5,000円を超える値札が。大変なご時世です。

余市、宮城峡のモルトをブレンドした竹鶴は両者の特徴をうまく引き出した職人の妙と言えるものです。その職人芸による17年や21年は今や世界的な表彰の常連になっています。加えてその熟成年数に見合わぬ小慣れた価格、味わいの方向性に好みはあれども、これだけの質のものをこの価格で出してくれる姿勢には感嘆を禁じ得ません。

それでは開封してみます。確かな甘さとほどよく煙る香り。口に含むとのびやかながらブ厚い甘さと並行して感じる煤けた味わいで最後に落ち着いたアルコール。余韻は香りから続く甘さが徐々に引いていき、煙が残る。そして「ほう」と独り言。

「熟成」という深淵を垣間見ることができる1本だと思います。その深淵の先に何があるのかわかりませんが、その深みはどこまであるのかと興味が出てくること請け合い。例えるなら28歳前後の充実したセントラルMFといったところでしょうか。ボールを散らし、攻撃を組み立て、必要とあらばゴール前からミドルを叩きこむこともできる。いるといないとではやるサッカーが変わってしまう、そんな感じです。


【香 り】 風味のある煙
【味わい】 どっしりとしてしつこくない甘さ
【余 韻】 樽のかほり
【短 評】 縦に入れるだけがサッカーじゃないんです
【飲み方】 ストレート

 

 

  

5,000円以下の家飲み用としては最強クラスでしょう。決して華やかではありませんが、チームの中心いやキャビネットの心臓として機能してくれます。かつて竹鶴12年終売を受けて多くの人が涙したことでしょう。17年は末永く店に並んで欲しいものです。