笹の川酒造 ブレンデッドウイスキー 山桜 黒ラベル
先日、フラリと寄ったお店でグレンリベットを購入しようとした際に目に留まった見慣れない真っ黒なボトル。よく見れば前触れもなしに突如販売され、物珍しさからかすぐに完売となった山桜の黒ラベルではないですか。値段も700mlのボトルで2,000円とこなれていたので話のネタについで買いをしてしまいました。
福島に拠点がある笹の川酒造、地ウイスキーとしてチェリーウイスキーを製造販売していましたが、今年になって突然「ピュアモルト山桜15年」を発売して注目を集め、立て続けにブレンデッドの「山桜 黒ラベル」を発売、そのどちらも即完売となっていました。まあこれも何かの縁でしょう。
開封してみます。まず香ってくるのはほのかな甘さ。そのあとに来る若い原酒のアルコール感。瑞々しくもあり、未熟感もある。口に含むと香りほどには未熟感はなく、思いの外まろやかに転がります。味わいそのものは穏やかなのですが、奥の方に柑橘系の甘さがある気がします。余韻はあまりなくスルッと消えます。
買う前に店員さんにどんな感じですかと訊いてみたら「良くも悪くもフツーですね。ハイボールがお薦めです」と言われていたのですが、飲んでみてもそのまま素直にフツーなブレンデッドウイスキーでした。本当にクセがないので俺色に染め放題です。ドSなアナタにお薦めの1本でしょう。
【香 り】 若い甘さ
【味わい】 存外まろやか
【余 韻】 かなり集中すれば樽感が
【短 評】 地方出身の一般職の子
【飲み方】 割りましょう
この山桜 黒ラベル、製造元の笹の川酒造のサイトにも載ってないという存在感のなさで涙を誘いますが、それが逆に「応援してあげねば」という感情を呼び起こす魂のウイスキーと言えるでしょう。(嘘です、言いすぎましたw) ピュアモルトは限定的ながらブレンデッドは継続的に販売していくような雰囲気ですので、定期的にウォッチしていきたいですね。
ただ、2,000円前後は激戦区です。サントリーですとプレ角、オールドからリザーブが競合し、ニッカだと…少し下のブラックニッカ ディープブレンドやスペシャルあたりになるでしょうか。スコッチならばブレンデッドの御三家、ジョニ黒、バランタイン、シーバスリーガルの12年ものとの戦いになります。ライバルはあまりに強大。
特徴あるボトルの色や海外客を意識したようなラベルデザインなど、作り手の熱意は感じます。あとはいかに販路を拡大していくか、事業として続けていくか。量産化によって1,500円ぐらいまで実売が下がればリピート購入の候補にも入ってきやすくなるでしょう。リピートされれば、事業収支は安定します。中長期的なビジョンが求められますね。