【企画もの】 バランタイン 4種比較(ファイネスト、12年、17年、30年)
不定期な企画ものです。今回はバランタインにしてみましょう。世界的に支持を受けるバランタイン。その歴史は古く、1800年代にはブレンデッドウイスキーの製造を開始、今も残るラインアップとしては1910年に発売されたバランタインファイネスト、1937年に発売されたバランタイン17年を抱えるなど、100年以上の社歴を経てもなお、その勢いは留まることを知りません。そんなバランタインの主力どころをおさらいしてみる企画です。
今回チョイスしたのはこの4本。バランタインファイネスト、12年、17年に30年です。少し前の年代のボトルで揃えてみました。バランタインには限定品が数多くあり、また近年には21年の追加などがなされているため、ラインアップは多岐に渡り過ぎて正直把握しきれないのですが、この4本は長らくバランタインを支えている主力。この辺りを押さえておけばまず間違いないだろう、という判断です。
どんどんいきましょう。
まずはベンチマークとしてエントリーボトルに位置付けられるファイネストの70年代でしょうか。世界中で愛されるバラファイってやつですね。味わいはというとざっくり...
香り:ドライフルーツ、ハーブ
味わい:レーズン、樽
余韻:アーモンド、ミント
こんな感じです。エントリーボトルながらこの時期のバラファイは濃ゆいナッツ感が効いててなかなか楽しめます。加水をすると奥に眠っていた香りと味わいが目を覚まします。とてもバランスのとれたバラファイですね。
続いては明治屋扱いの従価特級、恐らく80年代の12年です。バラファイと並んでデイリーでガンガン飲めるバランタインですね。味わいはといいますと...
香り:イチジク
味わい:ナッツ
余韻:程よくトースト
現行12年の飲みやすさと比して味わいが濃ゆいですね。ハイボールに合うドライなゴールドシールと比べても落ち着きがあります。12年でこれだけの味わいと落ち着き。バランタインの奥深さを感じます。
バランタイン永遠の主力、17年です。80年代から90年代のボトルでしょうか。1937年に発売された歴史あるラインアップである17年。そのときのクオリティが一番出るボトルだと思います。味わいはといいますと...
香り:オレンジピール、洋ナシ
味わい:レーズン、ミックスナッツ
余韻:ドライフラワー、チョコクッキー
こんな感じです。17年ともなると味わいの深さ、複雑さがグッと感じられる構成になりますね。今はシングルモルト優位のご時勢、ブレンデッドはこなれた値段になっていますので、この17年もデイリーとして飲めるのはある意味いい時代なのかもしれません。
トリはやはりバランタイン30年でしょう。90年代のボトルだと思います。限定品を除けばバランタインの通常ラインでは最上位に位置するボトルになります。まあ値段もそれなりにはなりますが、シングルモルトの30年ものに比べるとかわいいものです。味わいはといいますと…
香り:フルーツ盛り
味わい:濃厚レーズン
余韻:どもまでも続く熟成感
バラ30年って現行ボトルもそうですけど、余韻の深さ長さに特徴があると思っています。心地いいんですよね、余韻が。しみじみといいウイスキーだなあ、と感じさせてくれます。そしてこの30年ものがオフィシャルとして50年にも渡って供給され続けているということに驚きを禁じえません。その原酒管理のノウハウを某社に教えてあげて欲し...w
歴史あるバランタイン、その中でも古参のラインを飲んでみました。ファイネストは1910年、17年は1937年、12年と30年は1960年ごろに発売されています。新しく思える30年でも50年、ファイネストに至っては100年を超えています。原酒管理、品質管理...その仕事っぷりにはただただ脱帽するしかありませんね。
日本には1950年代に17年が超高級酒として輸入され始め、以来ジョニーウォーカーやシーバスリーガル、オールドパーと並んでスコッチの代名詞として名を馳せてきました。今はシングルモルト全盛の世の中で何となくブレンデッドが脇役っぽい位置づけになってしまっていますが、原酒枯渇が世界的に叫ばれる中、ブレンデッドの復権があるのでは、と個人的には思っています。
今回は少し古いボトルをチョイスしましたが、現行のファイネストや12年は今どきの要素をしっかり入れ込んで高い評価を勝ち得ています。時代とともに求められる味わいの趣向も変わる中、蓄積したブレンド技術でその期待に応え続ける...その類まれなるバランタイン、これからも飲み続けたいと思います。